紀伊半島の環境保と地域持続性ネットワーク 紀伊・環境保全&持続性研究所
連絡先:kiikanky.ztv.ne.jp 
ホーム メールマガジン リンク集 サイトマップ 更新情報 研究所

  地域活性化研究室

 はじめに

 この研究室では、中山間地域を中心に、若者の流出、少子高齢化、人口の減少、一次産業の衰退等が進み、その社会的機能が衰退するなど、地域の持続性が大きな問題となっていることから、ふるさとを取り戻し、活性化するために有用な情報を収集し提供していきたい。

 中山間地域の衰退の最も大きな要因は、1次産業のうち、林業では木材の自由化により国産材生産の採算性が著しく低下したこと、農業ではコメをはじめとする農産物価格が需要の減退や、海外からの安価な農産物の流入により低迷したことなど、一次産業の魅力が失われ、若者が他産業に移り、生まれ故郷に定着できなくなったことである。農山漁村は経済のグローバル化に大きく影響され続けてきたと言える。

 2013年7月23日から、政府はTPP交渉に加わるとしているが、TPPにおいては農産物も聖域とされることなく、交渉のまないたに載せられること、TPPの目標・原則は例外無き関税撤廃であることから、コメや畜産物を例外品目にしたいという日本の要求が通ることは困難であるとみられる。オーストラリアなど農産物の輸出拡大を目指して交渉に臨んでいる国があるが、これに反対し、米国との同盟関係をないがしろにしてTPP交渉から脱退し、あるいはTPPをつぶすという覚悟のない政府は、大幅な譲歩の下で妥結せざるを得ないことになるだろう。もし、コメ、畜産物などの関税の撤廃ないし、大幅な引き下げが行われるならば、農業分野で3兆円以上の国内生産額が減少すると見込まれており(農林水産省試算)、農業総生産額が10兆円に満たない中で、農山漁村は大きな打撃を被ることになる。農山漁村の再生、持続性を考える者としては、当然、TPPの影響の大きさに強い危惧の念を持たざるを得ない。

 「地域の時代」、「地方分権」などと言われて久しいが、あまり進んでおらず、議論も頓挫しているように思われる。「地方分権」に関して、道州制は新たな行政・立法機関をこれから作ることになり、屋上屋を重ね、現在、例えば予算について、国レベルで行われているような議論が各道州で同じように行われることになり、時間とお金の無駄を積み増しすることになる。国の肥大が問題であるならば、どこをスリムにすべきかを明示し、国会議員の削減を率先垂範しながら進めるべきであろう。地域の多様性を尊重しながら地域の発展・活性化を図ることが重要であるならば、現在、国が全国一律に決めている予算を、都道府県が地域の実情に合わせられるように、枠予算として配分し中身は地元で決めてもらうようにし、予算の策定と執行に必要とされる国家公務員を大幅に削減して、小さな政府とし、国家財政の立て直しに役立てるべきだろう。

 現在の都道府県は、地理的にも歴史的にも経緯があって現在の境界となっており、かなり良く機能していると思われる。市町村レベルでは、平成の大合併によって、大きく再編されて単位が大きくなり、財政破綻などが起こりにくい状況が作られた。一方で、旧市町村が消滅したことにより、きめ細かな地域行政等が出来にくくなった事例も出ている。きめ細かな地域行政を進めることが財政上難しい状況があるならば、民間活力を活用し、公と民が協働して進めていく考え方をもっと進めるべきだろう。

 今後、地域再生、地域の持続性確保について考えていく予定です。(2013.7.20記)

「ホーム」へ